俳句の庭/第24回 白鷺サギー 佐怒賀直美

佐怒賀直美
[略歴]昭和33年茨城県古河市生まれ。昭和57年埼玉大学学生句会に参加、松本旭に師事し「橘」に入会。大学卒業と同時に「橘」の編集に参加、編集長を経て平成27年「橘」主宰を継承。元高校教諭(平成21年50歳を機に自主退職し、俳句中心の生活となる)。俳人協会理事・俳人協会埼玉県支部事務局長。句集『髪』『眉』『鬚』『心』など。「秋」主宰・佐怒賀正美は実兄。

 「白鷺サギー」との出会いは、昨年の蛇笏忌(10月3日)の夜のことであった。この日は午後と夕方と連続で句会があり、そこそこ疲れて車で家に戻ったのだが、庭の中央に立つ枝垂れ桜の天辺に、何やらうっすらと白い影が…。車を降りて恐る恐る見あげると、何と白鷺が首を竦めて眠っているではないか。
 南側と西側に水田の広がる我が家では、白鷺は見慣れてはいるというものの、二十数年来泊りに来たのは初めてである。 
門柱に白鷺のゐる四日かな 直美
などと、時には句材にもなってくれる有難い白鷺なのではあるが、さすがにこれには驚いた。
 逸れてしまったのか、帰りそびれてしまったのか、とにかく静観することにしてその晩は私も眠りについた。
 翌朝のこと、朝の早い妻によると、起きた頃にはまだ居たけれど、日が昇り始める前には飛び立っていったという。また来るだろうかと、早速「サギー」と名付けて、二人して心躍らせた。
 それからしばらくの間、サギーの居候は続いた。途中一晩帰ってこないこともあったが、結局10月26日までの長逗留となった。
 若い頃から蛇笏の好きだった私だが、今年はいつにも増して蛇笏忌が楽しみなことである。
白鷺一羽庭木に宿る蛇笏の忌  直美     (6月7日)