俳句の庭/第56回 観月祭 森田純一郎

森田純一郎
1953年、大阪市生まれ。1986年「かつらぎ」入会、阿波野青畝・森田峠に師事。2013年、実父・峠より「かつらぎ」主宰を継承。俳人協会理事・関西支部長、大阪俳人クラブ副会長、兵庫県俳句協会常任理事、日本文藝家協会会員、国際俳句交流協会会員。大神神社・住吉大社・今宮戎神社・南御堂みどう俳壇選者。1994年から5年間ニューヨーク駐在。句集『マンハッタン』・『祖国』・『旅懐』。編纂『森田峠全句集』。

 摂津国一之宮である住吉大社の献詠俳句選者を十年前から務めている。献詠俳句は、四月の松苗神事と九月の観月祭の年二回募集があるが、観月祭は中秋の名月の日と決まっている。全国から送られて来る献詠俳句の中から選ばれる入選句を短歌と共に反橋の上で神職達が伝統的な作法に則って披講するのだが、夜の神事はこの写真にあるように実に幻想的なものである。
 写真は、コロナ禍の始まる前年である令和元年九月の時のものだが、一つは夜の水面に灯りを点した反橋が映って繋がっているように見える不思議な光景、もう一つは観月祭の始まる前に神職三人が反橋の前で待機している写真である。
 観月祭当日は夕刻に吉祥殿という建物に入選した受賞者達と我々選者が集まり、まずは境内の第二本宮での観月祭の神事が行われる。そこから反橋の前に設えられた席へと移動、やがて日が沈む頃になると橋の袂には篝火が焚かれ、いよいよ神職達数人が反橋の上に車座になり、芒や御饌の供えられた橋上にて、献詠短歌と俳句が詠み上げられる。
 去年までの三年間はコロナ禍のために中断しており、今年は四年ぶりでの開催ということになる。戦争のない世界を祈りつつ、今年も中秋の名月を愛でたいものである。
  けふの月長いすすきを活けにけり 阿波野青畝
  (句集「定本 萬両」所収、昭和4年作)