俳句の庭/第11回 秋桜(あきざくら)の庭」 佐怒賀直美

佐怒賀直美
昭和33年茨城県古河市生まれ。昭和57年埼玉大学学生句会に参加、松本旭に師事し「橘」に入会。大学卒業と同時に「橘」の編集に参加、編集長を経て平成27年「橘」主宰を継承。元高校教諭(平成21年50歳を機に自主退職し、俳句中心の生活となる)。俳人協会理事・俳人協会埼玉県支部事務局長。句集『髪』『眉』『鬚』『心』など。「秋」主宰・佐怒賀正美は実兄。

 「秋桜(あきざくら)」とは何とも優しく素敵な名前だが、明治になって渡来した外来種の植物だということが意外に感じるくらい、すっかり日本の風景に溶け込んでいる。メキシコ辺りが原産とかで、見かけによらずとにかく強い植物である。繁殖力も旺盛で、1本あればどんどんと増殖する。また、たとえ風などでなぎ倒されてしまっても、倒れた茎の途中から新しい茎を何本も垂直に伸ばし、より沢山の花を咲かせたりする。
わが家の庭にもどこから飛んできたのか、10年ほど前に2,3本の秋桜が芽を出し、可憐な花を楽しませてくれた。すると翌年にはそれが数倍に増え、今ではあちらこちらに広がり、放っておけば庭全体が秋桜畑となってしまうほどである。可愛らしい芽が一旦出てしまうと、可哀想でなかなか抜くことができず、最初の頃は雑草を抜きながら、秋桜だけはそのまま残しておいたのだが、この頃は意を決し、何ヶ所か秋桜エリアを決めて、あとは雑草と一緒に引き抜いてしまうことにしている。
今年は長梅雨の影響だろうか、いつにも増して元気で、背丈もだいぶ高くなっている。すでに門柱先の道路際には幾つか花も咲き始めた。物置前の中庭が群落の定位置なのだが、今年は南側の松や梅などの木々の間にも進出し、合間はもちろんのこと、一部は下枝を突き抜けてその茎を伸ばしている。