今月の俳句

俳句カレンダー鑑賞 10月
鶺鴒の色こぼしつつ飛びたてり 小川晴子

 70年続いた汀女の「風花」が平成29年10月に終刊した。中村汀女を祖母に、小川濤美子を母にもつ晴子は、平成29年10月に風花俳句の精神を引き継ぎ「今日の花」を創刊し、女系三代の俳句の道を歩み始めたのである。  鶺鴒には、キセキレイなど色の派手なものもいるが、基本的にはハクセキレイ、セグロセキレイ等の白と黒の灰色の鳥である。その地味な色合いの鶺鴒が尾を地に触れながら飛び、鳴き声を上げて羽ばたく姿にキラキラ光る色を見たという。  女流俳人の先駆けとして著名な汀女の孫として、当然そこには幾ばくかの不安もあろう。掲句には、その不安を小さい鶺鴒に明るい色を見たことで払拭し、新しく「今日の花」を立ち上げた喜び、安堵、そしてこれから飛翔していこうという期待感が感じられる。(馬場眞知子)
鶺鴒の色こぼしつつ飛びたてり

小川晴子

 社団法人俳人協会 俳句文学館582号より