俳句カレンダー鑑賞 平成25年11月
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60歳を過ぎても現役で戦っていたプロレスラーのジャイアント馬場。引退が平成10年であるから40歳以上の人は知っているだろう。
そのジャイアント馬場の技の中で、特に有名なものが「十六文キック」である。ロープに振った相手が反動で返ってくるところに、カウンターでキックをする。その蹴る足がとてつもなく大きかったので「十六文キック」と呼ばれた。
大きな朴落葉を見つけた作者は、その上に足を置いてみた。その驚きを「十六文は優にあり」とユーモラスに描写。十六文はおよそ40センチであるが、その長さを知らない者でも「ジャイアント馬場の足より大きい」と、すぐ思い浮かべることができる。「優に」の措辞が見た瞬間に感じた思いをよく伝える。
忠実な写生でありながら独自な言葉での表現。隠れた芸の冴えを見る。(渥美絹代)朴落葉十六文は優にあり
仁尾正文
公益社団法人俳人協会 俳句文学館511号より