俳句カレンダー鑑賞 平成25年2月
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空知地方は旧石狩国の中部を占め、「空知弐百万石」といわれるように我が国有数の穀倉地帯である。その中央部を石狩川が貫流し、広々とした水田地帯を形成する。
作者は樺太(現サハリン)で生を受け、空知支所(現在は空知振興局)の雨竜で成長された。 第4句集『北天』において「俳句とは風土を年頭に、そこで呼吸をしている人間の起き臥しを綴る詩」と述べられている。
この作品の雪解川には大河の趣がある。雪解けの流れは激しく、また滔々たるうねりを見せているのであろう。しかしながら、人間の営みのために流れが変わり、多くの橋が架けられた。
「橋いくつ」には、人間の営みへの意が籠められているのだ。大景に対峙して詠みこまれた故郷讃歌である。
第5句集『北溟』にも〈空知野や父の匂ひの注連の藁〉がある。(野崎 声山)雪解川空知の国に橋いくつ
源 鬼彦
公益社団法人俳人協会 俳句文学館502号より