俳句カレンダー鑑賞 平成25年6月
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感情を表す言葉は、使いこなすのが難しい。だからそれを使わずに、それが分かるように表現せよ、と教えられる。
この句も、最初に「幸せの」とあるから、甘いと思った。しかし、それに続いて「ぎゆうぎゆう詰めや」とあるので、首を傾げた。
私の頭では「ぎゆうぎゆう詰め」といえば満員電車だ。それが「幸せ」とは?好きな人と乗ったのかな...と思った。
ところが「さくらんぼ」ときた。なるほどね、と思い一本取られた気がした。
このさくらんぼは〈佐藤錦〉の大粒で、桐の箱に入り、値段は2万円。贈り主は句友のOさん。旅行中に天童市のホテルで見かけ、30分ほど迷って贈ったようだ。それだけに、この句を見たときは嬉しかったという。平成5年のことだ。(松浦敬親)幸せのぎゆうぎゆう詰めやさくらんぼ
嶋田麻紀
公益社団法人俳人協会 俳句文学館506号より