俳句カレンダー鑑賞  平成31年11月

俳句カレンダー鑑賞 11月
朴落葉風の遊びに取つて置く 白濱一羊

 一句の内容はシンプルだが、この句意外と曲者。取って置く量は朴落葉の全てなのか一枚なのか。また、取って置く場所はどこか。そういう情報は一切与えられていない。場所については、風の通る所なので朴の木の下と考えるのが自然か。家の中ではなさそうだ。
 では取って置く量は。一つ目は、手を加えないで落ちたままの状態にしておくという解釈。風流っぽくもあるがずぼらの弁解とも。そこに滑稽があるとも言える。二つ目は落葉掻はしたがわざと一、二枚掃かずにその場に残しておく。風さんお好きなように。
 解釈は各自自由。朴落葉は大きいので「風の遊び」なら一、二枚掃き残しておく方、という見方が私見。一句の謎解きも含め作者の遊びごころが察せられる。もう風が朴落葉を裏返しているかも。
(丹羽 真一)
朴落葉風の遊びに取つて置く

白濱一羊

 社団法人俳人協会 俳句文学館583号より