俳句カレンダー鑑賞 令和8年1月
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初茜ことばは幸をもたらしぬ
藤田直子「まぎれもない己がある句」を標榜する俳句結社の主宰として、新年の感懐を詠った句である。社中の人達へ今年はどういう一言を伝えるべきかと、思いつつ辿り着いたのが「ことばは幸をもたらす」だったのだろう。
近年この国の言葉は、他に類を見ない言語文化として注目されている。漢字、カタカナ、ひらがな、ローマ字を一文の中に受容し、一字で意味を変換させる助詞、無数の擬音語・擬態語、助数詞が存在する玄妙な体系を持つこと、そして、千年前の古語を保存しつつ詩を紡ぐ文化が継承されていることなどで。
現在俳句を詠ずる人達は、この「言霊の幸{{さきは}}ふ国」(万葉集)の文化の一翼を担っているのであり、個々人として作者は「句作を通して森羅万象の一存在に立ち返ることができる」(句集『秋麗』あとがき)に記した。それは幸せなことですよと言いたいのだろう。作者の「ことば」に寄せる思いは次のような句にも投影されている。
〈詩は祈り野に蕗の薹ひかるとき〉。
(岡根谷良臣)社団法人俳人協会 俳句文学館×××号より
