俳句カレンダー鑑賞  平成23年11月

俳句カレンダー鑑賞 11月
余生こそ二人三脚花八手 水原春郎

余生こそ二人三脚花八手 水原春郎
 二人三脚の1・5脚は、もちろん康子夫人である。
 夫人のご文章を引用させていただくと「私は神田育ちだが生まれたのは本郷湯島で水原の家の隣であった。水原と私の里の神戸の家は、私の生まれる以前からの知人で、母同士が御茶の水の同級生、兄と春郎も幼稚園から一緒、姉たちや妹も御茶の水の同窓という長い糸で結ばれ、私達兄弟はみな水原の父の手によって生まれた。私の誕生の時、春郎は家の前を三輪車で遊んでいたという」というえにしのお二人である。すでにダイヤモンド婚も祝われた余生の平穏を、地味だが、滋味深い八つ手の咲く日向が見事に象徴している。
 春郎先生に愛妻俳句の多いのは周知のことで、その極め付けが〈願はくは来世も君と冷し酒〉であろう。因みに春郎先生のお嫁さんに「康子ちゃんがいいよ」とおっしゃったのは秋櫻子先生とのこと。
(渡邊千枝子)
 社団法人俳人協会 俳句文学館487号より