俳句カレンダー鑑賞 令和5年5月
- 俳句カレンダー鑑賞 5月
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一読、田圃の中の築何百年かの茅葺屋根の旧家を想像した。作者に訊ねると、生家は東京の目白の住宅街にあって、広い庭のある古い和風住宅だったようである。
お母さんは大変料理が上手で、いろいろと季節の料理を作ってくれた。 中でも豆御飯はおいしく何時も「えんど飯」と言われていたという。
母を早くに亡くした後、母のような料理を、家族に食べさせたいと懸命に料理の勉強をしたという。一時、料理の先生をしていた程である。今でも編集の人達においしい昼食を作ってくれている。春の初めに頂く蕗味噌は絶品であり、皆楽しみにしている。
生家の古いたたずまいと、母の「えんど飯」を懐かしむ母恋いの句である。「母許」と「えんど飯」に、母を慕う気持ちがよく出ている。
(上田 和生)母許の廂の古りぬゑんど飯
古賀雪江
社団法人俳人協会 俳句文学館624号より