俳句カレンダー鑑賞 平成26年9月
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曼珠沙華頭のてつぺんまで不良
今井 聖社会のルールからはみ出した若者を、世間は不良と呼ぶ。彼らは粗暴ではあっても、破壊的テロリストではない。中には筋の通った不良もいて、人に優しかったり、大人の嘘や欺瞞を暴く力さえ持っている。
少し前に、ブルーハーツというパンクロックのバンドが、髪を逆立てて「人に優しく」と歌っていた。彼らの髪型はまさに曼珠沙華のごとく怒髪天を衝き、大人たちから見れば不良そのものの姿をしていた。
不良のイメージを曼珠沙華に重ねた作者は、長らく高校の教師を勤めた方。見かけとは裏腹に純な魂を持つ若者たちに、愛情深く接して来た。そんな作者ならではの句の独創が素晴らしい。
畦道に真っ赤な髪を逆立てたパンクロッカーがすっくと立っている情景を想像すると、何とも愉快な気分になるではないか。（平山雄一）公益社団法人俳人協会 俳句文学館521号より