俳句カレンダー鑑賞 令和6年4月
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 作者の住まいは埼玉県川越市笠幡で、5階のベランダから晴れた日は南に富士山、北に秩父連山が望めるところ。 
 最寄りの駅から川越に向かう単線で、ある春の日、線路の上を山羊が歩いていて、駅員がそれをどかすのに小半時もかかった、という話を聞いたことがあります。
 この長閑な田園風景の中で、葱坊主の隣に立ち、同じ背丈にしゃがんで、
 「おい、葱坊主、君たちは揃いもそろって丸いねえ。それにしても、みんな睡そうだ。呑気でいいね」と語りかける。
 そして葱坊主はきっと、
 「あなたも、風に吹かれながら、呑気ですね」と返事をしたに違いない。
 この句を目にしたとき、なぜ直充師が都内に出るのに時間のかかる川越に住み続けておられるのか、という長年の疑問が解けた気がしました。
 (岩永はるみ)葱坊主みんな丸くてみな睡し 
 鈴木直充
 社団法人俳人協会 俳句文学館635号より 
 














