今月の俳句

俳句カレンダー鑑賞 8月
去り難な銀河夜々濃くなると聞くに 深見けん二
去り難な銀河夜々濃くなると聞くに

深見けん二
 作者は昭和16年、19歳の時から高浜虚子の下で指導を受けており、掲句は昭和26年山中湖での作である。
 虚子は、昭和25年夏から山中湖畔にある山廬で、東西の若者たちを集め、3日間直接指導する稽古会を始めた。それは29年以降、鹿野山神野寺で行い、32年まで続けられた。虚子の下で研鑽を積むことが出来る若者たちは、どれ程心躍らせ俳句に励んだことであろう。
 日々耀きを増してゆく銀河、美しい湖畔の風景は、作者の心に響いたであろう。しかしながら自分は帰らなければならない。何より無念なのは、師即ち虚子に心を残して去ることである。
 その思いが「去り難な」とはっきり表現した措辞から余韻として伝わってくる。この句は字余りであるがゆえに、一層心の籠もった句に仕上がった。
 このときの作句12句が虚子の選に入っており、いかに充実した時をすごしたか窺い知ることができる。(山田 閏子)
 社団法人俳人協会 俳句文学館580号より