第58回全国俳句大会 一般の部
開催日：令和元年9月10日 於：有楽町朝日ホール
【大会賞】
咲き充ちて幹の冷たき桜かな 永江としこ（愛媛県）
金魚玉の中タンカーの通りけり 樫本聖游子（千葉県）
雪吊や加賀宝生の鼓の音 高杉桂子（神奈川県）
一軒のための山道山桜 野村美智子（富山県）
雪折の杉少年の匂ひけり 神沢英雄（埼玉県）
富士山を見に行くだけの初電車 早坂洋子（東京都）
【秀逸賞】
登山靴穂高の石を噛みしまま 倉田信司（和歌山県）
全社員十三人の花筵 小林美成子（静岡県）
抜く足に沈む足あり蓮根掘る 富田範保（愛知県）
勝鶏の風の音にもたかぶれる 児島千枝（千葉県）
背負ひたる嬰の泣きゐる踏絵かな 小畑晴子（大阪府）
声届くところに夫や春田打つ 杉本恵子（富山県）
雪形に耳たつてゐる兎かな 真隅素子（東京都）
バスを待つ浮袋もう膨ませ 小池博美（東京都）
小鳥来る被曝大樹のある限り 古谷一夫（長崎県）
有馬朗人特選
背負ひたる嬰の泣きゐる踏絵かな 大阪 小畑晴子
葭雀鳴いて水より暮れにけり 広島 坂本たか子
音一つ竹の皮脱ぐ日暮れかな 東京 樋口昇る
茨木和生特選
雪形の耳たつてゐる兎かな 東京 真隅素子
たくましき高校生の除雪隊 山形 小野誠一
今井聖特選
ヘリコプターから白靴の降りて来る 山口 吉次薫
忘れ靴揃へてありぬ蝌蚪の池 埼玉 柴﨑??子
東京より三船十段春祭り 埼玉 保倉フミ子
今瀬剛一特選
竹林の風あをあをと夏料理 神奈川 佐野典比古
咲き充ちて幹の冷たき桜かな 愛媛 永江としこ
みんなゐてみんな若くて春の夢 富山 野村美智子
大石悦子特選
遺言は夫と同文山笑ふ 神奈川 礼田比左子
尾の先を浮かせ孔雀の歩の涼し 岡山 前田留菜
大串章特選
地歌舞伎の花魁今朝は畑を打つ 兵庫 衣笠修爾
端居して微分積分遥かなり 静岡 飯野定子
ひとり住む母の一徹冬銀河 東京 千葉日出代
岡田日郎特選
津波禍の新墓並び鳥渡る 広島 小都妙子
大川に潮の満ち来て花月夜 大阪 畠中俊美
石三つ重ね田の神水温む 神奈川 髙橋和湖
小川軽舟特選
流れ来し水の若さよ芹洗ふ 新潟 鳥羽サチイ
雲表へ足投げ出せりちんぐるま 東京 百瀬ひろし
蟻出でて地べた忙しくなりにけり 奈良 日比野勇
小澤實特選
抜く足に沈む足あり蓮根掘る 愛知 富田範保
飯蛸を洗ひ絡まる脚を解く 兵庫 山内茉莉
猪垣のつぎはぎ増やし独り住む 和歌山 笠原祐子
櫂未知子特選
公魚の光こぼさず釣られけり 埼玉 佐藤弘
星合の髪のなびける渚かな 神奈川 平沢千恵子
裏口の鍵は簡単猫の恋 東京 矢野みはる
角谷昌子特選
母だけの為に過ごす日水温む 東京 坂本たみ
雪兎月の光にふくらみぬ 千葉 髙橋茂子
小鳥来る被爆大樹のある限り 長崎 小谷一夫
柏原眠雨特選
松手入れ松を貫き梯子立つ 東京 小西弘子
ぼろ市の中に動いてゐる時計 兵庫 瀬戸橙
片山由美子特選
凧上げの子に青空のついてくる 神奈川 倉谷安子
麦こがし男ばかりが噎せてをり 福岡 山本則男
弔問の客みな去りし夜の秋 千葉 塩瀨信夫
栗田やすし特選
人々の影やはらかき良夜かな 神奈川 平沢千恵子
誰ひとり住まぬ生家や松の花 福岡 林わこ
木偶頭ことりと置かる余花の雨 香川 植田桂子
古賀雪江特選
田水張る村水平に寝落ちたり 北海道 花木研二
なまはげの足裏大きく去りにけり 和歌山 湯川輝美
寒鯉の水の重さを身に纏ふ 岐阜 各務恵紅
小島健特選
楽器担いで朧夜の男達 愛知 髙木ひかる
小鳥来る被爆大樹のある限り 長崎 小谷一夫
床上げの妻新緑に?れけり 埼玉 川岸健次
佐怒賀直美特選
雪折の杉少年の匂ひせり 埼玉 神沢英雄
十三夜仔山羊の角のほの温し 愛知 山本光江
六地蔵草の匂ひの月上る 神奈 川倉谷安子
鈴木貞雄特選
集落と共に滅びし鎌鼬 愛知 原田素緑
烏賊釣のひとつ父の灯海焦がす 徳島 近藤恵美子
駒鳥や父祖の山田は水満たし 東京 今田清三
鈴木しげを特選
こころしてふたりのじかん桜餅 埼玉 佐々木瀬都
黒々と二百十日の佐久の鯉 東京 深沢矩子
染谷秀雄特選
咲き充ちて幹の冷たき桜かな 愛媛 永江としこ
安曇野の水は豊かに初つばめ 千葉 本城宏基
黒々と二百十日の佐久の鯉 東京 深沢矩子
鷹羽狩行特選
みんなゐてみんな若くて春の夢 富山 野村美智子
紙漉くや水を大きく躍らせて 和歌山 川口修
葉桜や多忙の日々が余生とは 兵庫 田邉富子
棚山波朗特選
腹の子の初めて動く今朝の夏 神奈川 原田みる
つばめ来て空生き生きとなりにけり 広島 石橋康徳
百度目の花を見届け母逝けり 東京 金谷洋次
辻田克巳特選
一帖の和紙の帯解く二日かな 東京 坂東文子
新しき名字で届く新茶かな 静岡 髙杉光昭
永き日の紐一本であそぶ猫 長野 中里とも子
德田千鶴子特選
鬼灯を鳴らすは母を呼ぶごとし 千葉 福井隆子
満開と言ふさみしさや花の昼 三重 清原房
百年を生くる途次なり桜餅 埼玉 神山方舟
中原道夫特選
バスを待つ浮袋もう膨ませ 東京 小池博美
金魚玉の中タンカーの通りけり 千葉 樫本聖游子
今置きし物の隠るる炬燵かな 東京 杉田とみ子
仲村青彦特選
花の山明けゆき卵かけご飯 茨城 岡本優子
囀や白き出窓の保健室 埼玉 武井玖美子
蝶来ては去る牛小屋の明り窓 三重 山口一世
西嶋あさ子特選
牛飼で終る生涯雪しまき 栃木 大高松竹
雪吊や加賀宝生の鼓の音 神奈川 高杉桂子
西村和子特選
父祖の田を売らず守れず下萌ゆる 山形 鈴木正子
声届くところに夫や春田打つ 富山 杉本恵子
咲き充ちて幹の冷たき桜かな 愛媛 永江としこ
西山睦特選
鷹柱ほぐれていよよ空青し 広島 坂本たか子
一本を抜き炭俵ゆるみけり 愛媛 石丸千恵子
野中亮介特選
ゐるやうにゐなくなりたる原爆忌 東京 曽根新五郎
蜃気楼より大陸の列車来る 兵庫 小林恕水
縫初に夫の名札を付けにけり 大分 古庄政江
能村研三特選
金魚玉の中タンカーの通りけり 千葉 樫本聖游子
囀の籠のやうなる欅かな 東京能美昌二郎
禅寺に直線多し初つばめ 大阪楢崎美和子
福永法弘特選
虫送る海へ太鼓を打ち込めり 広島坂本たか子
宇宙ステーションへ届ける蜜柑?ぐ 佐賀栗林白霜
紀元節畳の国に老いゆけり 京都 髙木理子
藤本美和子特選
雀らの地べたを囃す大旦 山口 吉次薫
富士山を見に行くだけの初電車 東京 早坂洋子
正木ゆう子特選
柄も紅き蔦ひろひけり志望校 東京 望月澄子
夏来る大きな豆腐包丁に 千葉 甲州千草
物干し台佇てば荒星への舳先 東京 赤松羊子
松尾隆信特選
耀ようてかがよひながら滴れり 東京 西尾智美
たんぽぽの絮のとどまる岩の上 広島 坂井敏子
三村純也特選
背負ひたる嬰の泣きゐる踏絵かな 大阪 小畑晴子
春愁を猫に知られてしまひけり 大阪 酒井大輔
咲き充ちて幹の冷たき桜かな 愛媛 永江としこ
村上喜代子特選
百年を生くる途次なり桜餅 埼玉 神山方舟
春愁や母のぬり絵の塗り残し 熊本 松下美奈子
山崎ひさを特選
帰省子の靴玄関の真ん中に 広島 坂本たか子
戦犯で逝きし父の忌夾竹桃 東京 井上千秋
一軒のための山道山桜 富山 野村美智子
【当日句会】
奥坂まや特選
落とし水風重さうに田を渡る 岡本優子
達筆の名札下着に終戦日 宮都譲
湧きいづる水に水影月今宵 市村和湖
加古宗也特選
駅員の声に張りあり台風来 各務恵紅
ふるさとや涼しく声をかけらるる 藪原保子
片山由美子特選
蓮の実とぶ母の生家は川向う 木村麻利子
駅員の声に張りあり台風来 各務恵紅
駈け出して両国橋の夕立かな 宇野理芳
鈴木太郎特選
考へてゐるときが好き小鳥来る 恒川絢子
賛歌とも挽歌とも聞く蝉時雨 富田範保
数珠玉や人寄せ付けぬ川の嵩 宮本素子
ながさく清江特選
鍵かけぬ母の暮しや赤のまま 木下洋子
鰯雲たまには来いと言ふ兄貴 石田靜
曲屋にもう馬臭なし昼ちちろ 大沢美智子
西山睦特選
巡礼の道の細まる草の花 制野和子
生きているやうな日焼の柩窓 曽根新五郎
少なめに括る新聞秋の風 小西弘子
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【大会賞】
咲き充ちて幹の冷たき桜かな 永江としこ（愛媛県）
金魚玉の中タンカーの通りけり 樫本聖游子（千葉県）
雪吊や加賀宝生の鼓の音 高杉桂子（神奈川県）
一軒のための山道山桜 野村美智子（富山県）
雪折の杉少年の匂ひけり 神沢英雄（埼玉県）
富士山を見に行くだけの初電車 早坂洋子（東京都）
【秀逸賞】
登山靴穂高の石を噛みしまま 倉田信司（和歌山県）
全社員十三人の花筵 小林美成子（静岡県）
抜く足に沈む足あり蓮根掘る 富田範保（愛知県）
勝鶏の風の音にもたかぶれる 児島千枝（千葉県）
背負ひたる嬰の泣きゐる踏絵かな 小畑晴子（大阪府）
声届くところに夫や春田打つ 杉本恵子（富山県）
雪形に耳たつてゐる兎かな 真隅素子（東京都）
バスを待つ浮袋もう膨ませ 小池博美（東京都）
小鳥来る被曝大樹のある限り 古谷一夫（長崎県）
有馬朗人特選
背負ひたる嬰の泣きゐる踏絵かな 大阪 小畑晴子
葭雀鳴いて水より暮れにけり 広島 坂本たか子
音一つ竹の皮脱ぐ日暮れかな 東京 樋口昇る
茨木和生特選
雪形の耳たつてゐる兎かな 東京 真隅素子
たくましき高校生の除雪隊 山形 小野誠一
今井聖特選
ヘリコプターから白靴の降りて来る 山口 吉次薫
忘れ靴揃へてありぬ蝌蚪の池 埼玉 柴﨑??子
東京より三船十段春祭り 埼玉 保倉フミ子
今瀬剛一特選
竹林の風あをあをと夏料理 神奈川 佐野典比古
咲き充ちて幹の冷たき桜かな 愛媛 永江としこ
みんなゐてみんな若くて春の夢 富山 野村美智子
大石悦子特選
遺言は夫と同文山笑ふ 神奈川 礼田比左子
尾の先を浮かせ孔雀の歩の涼し 岡山 前田留菜
大串章特選
地歌舞伎の花魁今朝は畑を打つ 兵庫 衣笠修爾
端居して微分積分遥かなり 静岡 飯野定子
ひとり住む母の一徹冬銀河 東京 千葉日出代
岡田日郎特選
津波禍の新墓並び鳥渡る 広島 小都妙子
大川に潮の満ち来て花月夜 大阪 畠中俊美
石三つ重ね田の神水温む 神奈川 髙橋和湖
小川軽舟特選
流れ来し水の若さよ芹洗ふ 新潟 鳥羽サチイ
雲表へ足投げ出せりちんぐるま 東京 百瀬ひろし
蟻出でて地べた忙しくなりにけり 奈良 日比野勇
小澤實特選
抜く足に沈む足あり蓮根掘る 愛知 富田範保
飯蛸を洗ひ絡まる脚を解く 兵庫 山内茉莉
猪垣のつぎはぎ増やし独り住む 和歌山 笠原祐子
櫂未知子特選
公魚の光こぼさず釣られけり 埼玉 佐藤弘
星合の髪のなびける渚かな 神奈川 平沢千恵子
裏口の鍵は簡単猫の恋 東京 矢野みはる
角谷昌子特選
母だけの為に過ごす日水温む 東京 坂本たみ
雪兎月の光にふくらみぬ 千葉 髙橋茂子
小鳥来る被爆大樹のある限り 長崎 小谷一夫
柏原眠雨特選
松手入れ松を貫き梯子立つ 東京 小西弘子
ぼろ市の中に動いてゐる時計 兵庫 瀬戸橙
片山由美子特選
凧上げの子に青空のついてくる 神奈川 倉谷安子
麦こがし男ばかりが噎せてをり 福岡 山本則男
弔問の客みな去りし夜の秋 千葉 塩瀨信夫
栗田やすし特選
人々の影やはらかき良夜かな 神奈川 平沢千恵子
誰ひとり住まぬ生家や松の花 福岡 林わこ
木偶頭ことりと置かる余花の雨 香川 植田桂子
古賀雪江特選
田水張る村水平に寝落ちたり 北海道 花木研二
なまはげの足裏大きく去りにけり 和歌山 湯川輝美
寒鯉の水の重さを身に纏ふ 岐阜 各務恵紅
小島健特選
楽器担いで朧夜の男達 愛知 髙木ひかる
小鳥来る被爆大樹のある限り 長崎 小谷一夫
床上げの妻新緑に?れけり 埼玉 川岸健次
佐怒賀直美特選
雪折の杉少年の匂ひせり 埼玉 神沢英雄
十三夜仔山羊の角のほの温し 愛知 山本光江
六地蔵草の匂ひの月上る 神奈 川倉谷安子
鈴木貞雄特選
集落と共に滅びし鎌鼬 愛知 原田素緑
烏賊釣のひとつ父の灯海焦がす 徳島 近藤恵美子
駒鳥や父祖の山田は水満たし 東京 今田清三
鈴木しげを特選
こころしてふたりのじかん桜餅 埼玉 佐々木瀬都
黒々と二百十日の佐久の鯉 東京 深沢矩子
染谷秀雄特選
咲き充ちて幹の冷たき桜かな 愛媛 永江としこ
安曇野の水は豊かに初つばめ 千葉 本城宏基
黒々と二百十日の佐久の鯉 東京 深沢矩子
鷹羽狩行特選
みんなゐてみんな若くて春の夢 富山 野村美智子
紙漉くや水を大きく躍らせて 和歌山 川口修
葉桜や多忙の日々が余生とは 兵庫 田邉富子
棚山波朗特選
腹の子の初めて動く今朝の夏 神奈川 原田みる
つばめ来て空生き生きとなりにけり 広島 石橋康徳
百度目の花を見届け母逝けり 東京 金谷洋次
辻田克巳特選
一帖の和紙の帯解く二日かな 東京 坂東文子
新しき名字で届く新茶かな 静岡 髙杉光昭
永き日の紐一本であそぶ猫 長野 中里とも子
德田千鶴子特選
鬼灯を鳴らすは母を呼ぶごとし 千葉 福井隆子
満開と言ふさみしさや花の昼 三重 清原房
百年を生くる途次なり桜餅 埼玉 神山方舟
中原道夫特選
バスを待つ浮袋もう膨ませ 東京 小池博美
金魚玉の中タンカーの通りけり 千葉 樫本聖游子
今置きし物の隠るる炬燵かな 東京 杉田とみ子
仲村青彦特選
花の山明けゆき卵かけご飯 茨城 岡本優子
囀や白き出窓の保健室 埼玉 武井玖美子
蝶来ては去る牛小屋の明り窓 三重 山口一世
西嶋あさ子特選
牛飼で終る生涯雪しまき 栃木 大高松竹
雪吊や加賀宝生の鼓の音 神奈川 高杉桂子
西村和子特選
父祖の田を売らず守れず下萌ゆる 山形 鈴木正子
声届くところに夫や春田打つ 富山 杉本恵子
咲き充ちて幹の冷たき桜かな 愛媛 永江としこ
西山睦特選
鷹柱ほぐれていよよ空青し 広島 坂本たか子
一本を抜き炭俵ゆるみけり 愛媛 石丸千恵子
野中亮介特選
ゐるやうにゐなくなりたる原爆忌 東京 曽根新五郎
蜃気楼より大陸の列車来る 兵庫 小林恕水
縫初に夫の名札を付けにけり 大分 古庄政江
能村研三特選
金魚玉の中タンカーの通りけり 千葉 樫本聖游子
囀の籠のやうなる欅かな 東京能美昌二郎
禅寺に直線多し初つばめ 大阪楢崎美和子
福永法弘特選
虫送る海へ太鼓を打ち込めり 広島坂本たか子
宇宙ステーションへ届ける蜜柑?ぐ 佐賀栗林白霜
紀元節畳の国に老いゆけり 京都 髙木理子
藤本美和子特選
雀らの地べたを囃す大旦 山口 吉次薫
富士山を見に行くだけの初電車 東京 早坂洋子
正木ゆう子特選
柄も紅き蔦ひろひけり志望校 東京 望月澄子
夏来る大きな豆腐包丁に 千葉 甲州千草
物干し台佇てば荒星への舳先 東京 赤松羊子
松尾隆信特選
耀ようてかがよひながら滴れり 東京 西尾智美
たんぽぽの絮のとどまる岩の上 広島 坂井敏子
三村純也特選
背負ひたる嬰の泣きゐる踏絵かな 大阪 小畑晴子
春愁を猫に知られてしまひけり 大阪 酒井大輔
咲き充ちて幹の冷たき桜かな 愛媛 永江としこ
村上喜代子特選
百年を生くる途次なり桜餅 埼玉 神山方舟
春愁や母のぬり絵の塗り残し 熊本 松下美奈子
山崎ひさを特選
帰省子の靴玄関の真ん中に 広島 坂本たか子
戦犯で逝きし父の忌夾竹桃 東京 井上千秋
一軒のための山道山桜 富山 野村美智子
【当日句会】
奥坂まや特選
落とし水風重さうに田を渡る 岡本優子
達筆の名札下着に終戦日 宮都譲
湧きいづる水に水影月今宵 市村和湖
加古宗也特選
駅員の声に張りあり台風来 各務恵紅
ふるさとや涼しく声をかけらるる 藪原保子
片山由美子特選
蓮の実とぶ母の生家は川向う 木村麻利子
駅員の声に張りあり台風来 各務恵紅
駈け出して両国橋の夕立かな 宇野理芳
鈴木太郎特選
考へてゐるときが好き小鳥来る 恒川絢子
賛歌とも挽歌とも聞く蝉時雨 富田範保
数珠玉や人寄せ付けぬ川の嵩 宮本素子
ながさく清江特選
鍵かけぬ母の暮しや赤のまま 木下洋子
鰯雲たまには来いと言ふ兄貴 石田靜
曲屋にもう馬臭なし昼ちちろ 大沢美智子
西山睦特選
巡礼の道の細まる草の花 制野和子
生きているやうな日焼の柩窓 曽根新五郎
少なめに括る新聞秋の風 小西弘子
※一部表示できない文字を新字に変更しています。ご了承ください。