第32回俳句大賞

大賞】
太陽に匂ひありけり麦の秋       (鷹)斉藤 扶実

準賞
銭湯の富士山父の日なりけり      (香雨)田口 紅子

【プラチナ賞
梅雨を灯す梅雨なき国のパビリオン   (浮野)鈴木 貫一 89歳


小川 軽舟選
梅雨を灯す梅雨なき国のパビリオン  (浮野)鈴木貫一
ややありて子鹿も川を渡りそむ    (鷹)畠 梅乃
国引きの神話の浜の桜貝       (若竹)天野れい子

櫂 未知子選
投票を済ませ祭の灯のなかへ     (百鳥)山本三樹夫
銭湯の富士山父の日なりけり     (香雨)田口紅子
飼はれたるもののごとくに冷房裡   (いには)橘内訓子

片山 由美子選
太陽に匂ひありけり麦の秋      (鷹)斉藤扶実
吹かれても風には散らず沙羅の花   (運河)杉本征之進
魚棲まぬ湖のあをさよ山背吹く    (秀)増山叔子

岸本 尚毅選
香水を蒐めて足らぬ想ひあり     (諷詠・ホトトギス・)菅原くに子
夜の講座涼ししく寄せて机十     (年輪)田辺満穂
水鱧の歯に気をつけろ地引網     (泉)植竹春子

髙田 正子選
向日葵の黄は人類を悼む色      (雲取)物江里人
来年も逢ふ約束の桜かな       (春耕)小林啓子
「ただいま」はずつと空耳終戦忌   (繪硝子)西村すみ恵

西村 和子選

満月や抱き起こしたる妻軽き     (沖)岩波博庸
左手が労る右手胼薬         (青垣)島本知子
草いきれ弟だまつてついてくる    (火神・磁石)金田佳子

能村 研三選
天上のものとも仰ぐ朴の花      (沖)岡部玄治
このぞめき風が祭を運びくる     (汀・晨)岡本 戎
折鶴に千の息あり長崎忌       (橡)宮田早智子

望月 周選
おほかたを忘れし人の声涼し     (かつらぎ)若林恒子
夫の杖にぎり花火を待ちにけり    (百鳥)斉藤はるい
蓬餅重しに妻の走り書き       (道)伊藤泰山