第25回俳句大賞

【大 賞】
紙漉の水の表を使ひけり   (くぢら)掛井広通

【準 賞】

白鳥と同じ光の中にをり   (白魚火)村上尚子
えご散るやきのふの白へけふの白   (秀・樹氷)片方みち子

【プラチナ賞】

伊吹嶺は雲湧くところお花畑   (花綵)山田実

今瀬剛一特選
滝見台滝より上にありにけり   (いには)中瀬みわ
水中花開いて忘れられてをり   (沖)兵藤惠
ゆるやかに自転してゐるしやぼん玉   (春野)西原仁

石井いさお特選
紙漉の水の表を使ひけり   (くぢら)掛井広通
ゆつくりと煮出す薬草鷗外忌   (未来図)西里満喜子
海へ向く改札抜くる夏燕   (枻・鯱)今井茅草

上田日差子特選
えご散るやきのふの白へけふの白   (秀・樹氷)片方みち子
揚羽蝶ステンドグラス抜け来しか   (鳰の子)岩崎可代子
紙漉の水の表を使ひけり   (くぢら)掛井広通

嶋田麻紀特選
少年に髭らしきもの蟬の羽化   (煌星)佐藤三千子
大空へ消ゆる一球敗戦忌   (爽樹)松本きみ枝
高鳴りの風の一陣木の根明く   (汀)宇野恭子

鈴木しげを特選
白鳥と同じ光の中にをり   (白魚火)村上尚子
バケツごと地魚届く梅雨晴間   (雉)長岡はるみ
紙漉の水の表を使ひけり   (くぢら)掛井広通

田島和生特選
えご散るやきのふの白へけふの白   (秀・樹氷)片方みち子
ゆるやかに自転してゐるしやぼん玉   (春野)西原仁
兵役のなき世の百度石涼し   (濃美)荻野末雄

西山睦特選
紙漉の水の表を使ひけり   (くぢら)掛井広通
四万六千日ひとさじの離乳食   (沖)小林陽子
夏帽子震はせて立つ豪雨跡   (雉)秋本三代子

藤本美和子特選
白鳥と同じ光の中にをり   (白魚火)村上尚子
恐山に石積んで来し髪洗ふ   (馬醉木)伊藤ふみ
白扇の折り目にひびく山の禽   (撫子)西尾一