第18回俳句大賞

 【大 賞】
道を訊くために花買ふ巴里祭 (沖) 上谷昌憲


【準 賞】
箱眼鏡父の銜へし跡くはふ (山繭) 西尾敬一
聖堂は島の日時計麦の秋 (菜殻火) 西村蓬頭
冷し酒蕪村贔屓を貫きぬ (かびれ) 伊藤柳香

上田日差子特選
子規の忌や東京仰ぐものばかり (万象) 亀澤淑子
草の絮飛ばす離郷を決めかねて (同人) 宇治文子

片山由美子特選
冷し酒蕪村贔屓を貫きぬ (かびれ) 伊藤柳香
ふぐと汁足の痺れてしまひけり (馬醉木・海坂) 一 民江

栗田やすし特選
風鈴を吊りて余生の意地通す (朝) 鈴木政子
地震あとの梅一筵干しにけり (若葉) 清水千草
仮設にも慣れて草笛吹いてゐる (うぐいす) 池田琴線女

鈴木貞雄特選
川床涼み五欲の一つ残すのみ (鶴) 福田志村
峡にまだ届かぬ朝日鳥渡る (花鳥来) 船戸一舟
箱眼鏡父の銜へし跡くはふ (山繭) 西尾敬一

野中亮介特選
わが罪のおほかた忘れ閻魔祭 (天塚・狩) 宮谷昌代
聖堂は島の日時計麦の秋 (菜殻火) 西村蓬頭
地震止みて芽吹きの山のありにけり (百鳥) 佐藤京子

能村研三特選
ジーンズの真つ直ぐかわく麦の秋 (青嶺) 松永知子
余生とはいへども未来更衣 (百鳥) 高杉風至
花一分武士の一分に似て紅し (門) 小田島亮悦

藤木倶子特選
青空も踏みたき思ひ青き踏む (狩) 飯田酔亥
軽鳧の子のこぼるるやうに池に入る (春耕) 沖山吉和
生かされて玉なす汗を流しけり (未来図) 林 瑞夫

山本洋子特選
篝火の燠になるまで踊りけり (俳星) 山田草人
扇風機遺影の夫にまはしけり (白魚火) 辻 すみよ
星月夜二階に移す宴かな (春野) 工藤イツ子