第60回関西俳句大会

日時 令和七年五月二十四日(土)
会場 中央電気倶楽部ホール

朝日新聞社賞・関西俳句大会賞
軍手にもいつしか左右豊の秋    三重県  松村 正之
関西俳句大会賞
遠泳の頭が二つ遅れ出す      大阪府  田尻駿一郎
筋書きに無き猫よぎる村芝居    大阪府  南光 翠峰
水替へし金魚かたまりゐたりけり  奈良県  貞許 泰治
妙案のなし鯛焼を三つ買ふ     新潟県  髙埜 健蔵
始業ベル鳴りて未完の雪達磨    和歌山県 辻 幸子
沈黙は少女の鎧花柊        兵庫県  板倉眞知子
陪塚の影のうちなる冬田打つ    大阪府  浅田 光代
自然薯の先の読めざる長いさ掘る  香川県  端 あつ子
南 うみを特選
一塊の舐め上げられて子鹿成る     貞許 泰治
射止めたる猪をざぶりと谷川に     池田 緑人
鳩尾の他は虚空に梯子乗        木村 由希子
江崎 紀和子特選
豪雨禍の土手に無傷の曼珠沙華     尾崎 恵美子
軍手にもいつしか左右豊の秋      松村 正之
弾逸れし猪の疾さを称へけり      小津 溢瓶
西村 和子特選
初凪の瀬戸百島を目のあたり      人見 正
残心の頬染まりをり弓始        大島 幸男
吉野杉昨夜の雪積み売られけり     池田 美砂子
西池 冬扇特選
冬川にゆつくり溶くる鍬の泥      髙倉 明子
女雛また扇子落としてをらるるよ    神原 廣子
枯れつくし棒立ちの豆風に鳴る     金津 やよい
野中 亮介特選
なまはげの声に疲れの見えにけり    塚本 治彦
塗箸に草石蚕つまんで共白髪      角野 京子
古日記六十年の誤字脱字        三津木 俊幸
名村早智子特選
遠泳の頭が二つ遅れ出す        田尻 駿一郎
ほつとけば木になりそうな草茂る    本橋 無双
自然薯の先の読めざる長さ掘る     端 あつ子
朝妻 力特選
沈黙は少女の鎧花柊          板倉 眞知子
煤逃げを集め米朝一門会        久保 昌子
風車立てて駆け来る三輪車       今井 文雄
桑島 啓司特選
埋火や人の想ひに消せぬもの      島本 美紀
しやぼん玉みんなやさしく生まれけり  岩水 節子
剥落の土塀華やぐ蔦紅葉        奥原 尋嘉
谷口 智行特選
毛糸玉哀しい夜を知つてゐる      中村 智雪
湯豆腐や何とか無事といふ暮し     田中 里美
れんげ摘む体操服の子供達       人見 洋子
山尾 玉藻特選
妙案のなし鯛焼を三つ買ふ       髙埜 健蔵
保育器の君の名に来る賀状かな     西村 圭子
その日まで書込みありし古暦      蓮井 いく子
浅井 陽子特選
一塊の舐め上げられて子鹿成る     貞許 泰治
一湾を大盃にして山笑ふ        西尾 敬一
軍手にもいつしか左右豊の秋      松村 正之
和田 華凜特選
十二月八日パソコン起動せず      湯上 ひとみ
般若寺の風の七色秋桜         富田 範保
日輪のしばし留まる滝の上       岩水 節子
宮谷 昌代特選
始業ベル鳴りて未完の雪達磨      辻 幸子
握る手を握り締められ暖かし      たなか しらほ
海苔摘みの夜業を照らす小舟の灯    西岡 せつ子
才野 洋特選
柩へと被らぬままの春帽子       岡田 邦男
卒業の青空へ向く蛇口かな       森 瑞穂
晩年といふ豊かさの落葉焚       山中 悦子
小川 軽舟特選
観月会配所ならねど笛哀し       駒木 敏
遠泳の頭が二つ遅れ出す        田尻 駿一郎
太陽と遊びたき子のしやぼん玉     武田 巨子
手拝 裕仁特選
芋版のへび恐ろしき賀状かな      樋口 昇る
ほつとけば木になりそうな草茂る    本橋 無双
追ひ立てるごと片蔭の狭くなる     森本 成子
染谷 秀雄特選
水舟の光を放つ茄子の紺        平尾 美智男
日に淡く翳れば濃ゆき冬桜       伊瀬知 正子
引鴨の翼も胸も漲れる         松井 洋子
田中 春生特選
保育器の君の名に来る賀状かな     西村 圭子
沈黙は少女の鎧花柊          板倉 眞知子
太陽と遊びたき子のしやぼん玉     武田 巨子
古賀 雪江特選
子供食堂寒灯をあふれさせ       髙田 佐土子
反転を繰り返す鯉春立てり       坂元 軒二
雪掻いて今日の力を使ひ切り      岩水 節子
田島 和生特選
枯れつくし棒立ちの豆風に鳴る     金津 やよい
茶の花の日は裏山へまはりけり     水間 千鶴子
遠回りして着く能登の寒さかな     斎藤 詳次
片山 由美子特選
秋深しプラハは雨といふメール     佐藤 英子
春の灯や相寄り眠る籠の鳥       千鳥 由貴
宝舟耳の大きな神ばかり        三上 孝子
井上 弘美特選
蛸壺に虫の音籠る蜑の径        手塚 泰子
一面の捨田を抜くる盆の道       小都 妙子
軍手にもいつしか左右豊の秋      松村 正之
伊藤 瓔子特選
雲間より冬日一条爆心地        石橋 康徳
筋書きに無き猫よぎる村芝居      南光 翠峰
みづうみの句碑へととのふ鴨の陣    坂口 夫佐子
尾池 和夫特選
野梅咲く浦曲に遺る舟隠し       桐本 美惠子
鉦太鼓渓へ谺す虫送り         古谷 多賀子
田仕舞の余燼に地酒温めけり      南光 翠峰
柴田 多鶴子特選
遠泳の頭が二つ遅れ出す        田尻 駿一郎
膝に立つ嬰の踏ん張り春隣       光田 道子
吾の畑紋白蝶の本籍地         相馬 行行子
岩城 久治特選
釣果問ふ布衣の交はり鯊日和      左近 静子
あはうみの岸辺に春を見にゆかん    中島 正則
妙案のなし鯛焼を三つ買ふ       髙埜 健蔵
森田 純一郎特選
火床へと鞴祭の神酒を撒く       岡本 戎
陪塚の影のうちなる冬田打つ      浅田 光代
三輪山の映りをる田を植ゑにけり    大西 きん一
三村 純也特選
大層に仕舞ひ込まれし懸想文      巫 依子
県庁の春動き出す花時計        西尾 敬一
水替へし金魚かたまりゐたりけり    貞許 泰治
石井 いさお特選
初凪や湖に人住む島ひとつ       宮田 絵衣子
登り窯余熱千度を露に吐く       水野 悦子
寒月光深海の中行くごとし       大瀧 和子
大串 章特選
冬銀河遺品となりしスマホ鳴る     田村 喜子
紙を漉く本家分家の二軒のみ      古谷 彰宏
仏壇も瓦礫と化せり年開くる      村田 浩
能村 研三特選
運筆のやうに雪降る初弘法       石川 渭水
ふらここや神ゐるやうなゐぬやうな   加茂前 朱美
陪塚の影のうちなる冬田打つ      浅田 光代
富吉 浩特選
空白の日を鮮明に古日記        坂井 恭子
神もまた真空パック鏡餅        松村 正之
鉛筆の芯まで眠き春の昼        池田 華甲
村上 鞆彦特選
木枯や漆重ねて能登に老ゆ       田村 英一
濁流の嵩まだ減らず夏の月       上田 孝佳
傷癒えし猟犬殊に逸りけり       池田 緑人
德田 千鶴子特選
大根引く地下一尺までわが故郷     松村 正之
紙魚語る父の青春「軍歌集」      土居 直子
床下の手探りに出す蝮酒        小津 溢