俳句カレンダー鑑賞  平成28年6月

俳句カレンダー鑑賞 6月
六月の浪や沖より手をつなぎ 田島和生

 平成24年広島県福山市で開催された「雉」同人会総会の折の吟行で、鞆の浦の伝統漁法鯛網漁を見学した。
 当日は天候に恵まれ、瀬戸内海は涼やかな風が吹き、初夏のまぶしい凪が広がり、梅雨入り直前ながら、その穏やかな波は作者や結社の連衆を歓迎しているかのようであった。
 この句で作者は「浪」と表記しいてるが、強く激しい時は「濤」、一般的には「波」、心地よいそれには「浪」と使い分けているという。
 掲句を所収する『天つ白山』のあとがきで作者は、「俳句には、青春性ともいうべき自由闊達な心がふさわしい。私の俳句も日々清新でありたい」と記す。
 掲句の「沖より手をつなぎ」にその思いが込められていると言えよう。 (神田美穂子)
六月の浪や沖より手をつなぎ

田島和生

 社団法人俳人協会 俳句文学館542号より