第4回 光の春
季節感は光と気温の両面から見ると納得できる場合が多い。光は原因、気温は結果である。そして「光の季節」が先行し、「気温の季節」が後続する。昨年の十二月二十二日の冬至以後は、「光の季節」はすでに春に向かっているが、気温の歩みは遅れ、寒さのどん底は一月、二月にずれこむ。が、人々はつのる寒さのなかでの「日脚の伸び」に、春の接近を感じとる。
四十五年ほど前に旧ソ連の気象局に出張した時、モスクワ郊外の自然誌を入手した。そこには「二月は光の春である」と記されていた。二月初めの「日脚の伸び」は、東京では十日間に約二十分だが、モスクワは四十分、サンクトペテルブルグは五十分で、高緯度ほど著しい。シベリア勤務を経験した女性予報官に「光の春」の季節感を尋ねたら、軒の氷柱からの最初の水滴の輝きに、遠くからの「気温の春」の確実な接近を予感すると答えた。
多くの動・植物も先ず光の強まりによって春を感じる。光が強まるとホルモン腺が刺激され、小鳥たちの声は、恋人を呼び愛の縄張り宣言をする「囀り」にかわる。ヨーロッパでは二月十四日の「バレンタインの日」から小鳥が番になると言い伝えられてきた。日本でも立春(二月四日)ごろから、スズメが「声がわり」する。
