第2回 晩秋、初冬の天気のリズム
晩秋から初冬にかけて低気圧が通ると、紅葉・落葉の野山が冷たい雨にぬれ、高い山の頂は雪化粧をする。翌日は低気圧が東の海上に進み、大陸東部には高気圧が現れ、気圧配置は一時的に西高東低の冬型。北西季節風が日本列島を吹き抜け、山の紅・黄葉が谷間の空に舞い上がる。木枯らしである。この風は日本海を渡る時に、相対的に暖かい海面により下から暖められて対流を起こし、積雲や積乱雲などの団塊状の雲をたくさん作る。その雲が風に流されて日本海側の地方や内陸山間部の上空を次々に通過する。すると空が急に暗くなって冷たい雨がサーと降ったかと思うと、日が照って紅葉が輝くのが一日に幾回も繰り返される。これが時雨。一方、太平洋側の地方は北西季節風が山越えの下降気流となって、雲は消え空っ風の青空になる。
晩秋・初冬の冬型気圧配置は長続きしない。大陸の高気圧が日本の上に移動してきて木枯らしは吹き止み、全国的に穏やかな小春日和。日だまりの枯れ草から、生き残りの虫の「忘れ音」がかすかに聞こえてくる。小春は陰暦十月の別名。太陽暦では十月下旬ごろから十二月中旬ごろに当たる。木枯、時雨、小春日和を繰り返しながら、季節は確実に冬に向かう。晩秋・初冬の天気の移ろいは人生の晩年に似ていると、八十五歳の私は思う。
