第23回俳句大賞

【大 賞】
夕張の闇の真中に踊の灯  (濃美)後藤ひさし

【準 賞】
日も月も海より出づる貝風鈴 (若葉)渡辺健
広島に鳩沖縄に櫻貝  (いには)西澤照雄

【プラチナ賞】
水平といふ涼しさの月山湖  (駒草・澪)清水治男


大串章特選
車椅子押さるる人も花衣  (枻)竹内榮子
捕虫網振つて明るき未来かな  (街)加藤冬人
子に譲る築百年の隙間風  (末黒野)今村千年


大石悦子特選
広島に鳩沖縄に櫻貝  (いには)西澤照雄
筍にけものの温みありにけり  (出航)篠原嘉代
委ぬるといふ涼しさのありにけり  (浮野)岩崎あかり


鈴木貞雄特選
葉脈にしみ入るひかり沢蛍  (未来図)守屋明俊
地震あとの柩揺れ発つ麦の秋  (馬醉木)佐藤澄世
夕張の闇の真中に踊の灯  (濃美)後藤ひさし

?田正子特選
広島に鳩沖縄に櫻貝  (いには)西澤照雄
月守になりたき檸檬育てをり  (四葩)里見紀子
日本一大きな村の蝌蚪の国  (樹氷)兼平玲子

田島和生特選
日も月も海より出づる貝風鈴  (若葉)渡辺健
水平といふ涼しさの月山湖  (駒草・澪)清水治男
明日植うる代田を月の渡りけり  (一葦)鈴木三枝子

西村和子特選
教へ子の形見の硯洗ひけり  (百鳥)大串若竹
さよならの後も草笛吹いてゆく  (百鳥)佐野益子
水喧嘩言ふだけ言うて負けてくる  (屋根)片方みち子

能村研三特選
碧瑠璃の空へ螺旋の鷹柱  (春耕)澤聖紫
サングラス掛けて己を欺かず  (月の匣)鈴木恭子
八月や尖りて積もる砂時計  (幡)三木好美


源鬼彦特選
鮎釣りの岸に義民の刑場碑  (伊吹嶺)山本光江
露涼し開墾の碑は富士に向き  (百鳥)江坂衣代
梅を干す父母を看取りし家に住み  (蜻蛉)中山菊枝