第22回俳句大賞

【大 賞】
創刊号終刊号も土用干  (百鳥)塩谷康子

【準 賞】
けふは木と話してをられ生身魂  (運河)高木節子

【プラチナ賞】
秋暑し戦後七十年の皺  (馬醉木)細井房俊

大串章特選
大戦を見てきし雛に見つめらる  (かつらぎ)くりはらまさる
母の日の問診めける電話かな  (かびれ)佐々木リサ
潮騒のとどく生家の端居かな  (嵯峨野)中島勝彦

柏原眠雨特選
舞終へて神から人へ戻る汗  (りんどう)田辺海樹
ひだる神つく炎天に酢のにほひ  (未来図)北村岬
地獄絵の鬼千匹を土用干  (や・晨)菊田一平

鈴木貞雄特選
緑響く馬一頭の蹄より  (無所属)正富鼓子
白南風や巌の如き隠岐の牛  (かつらぎ・夏爐)出木俊子
創刊号終刊号も土用干  (百鳥)塩谷康子

田島和生特選
雪形や水こくこくと田を浸す  (無所属)後藤杜見子
けふは木と話してをられ生身魂  (運河)高木節子
青春を捧げし一書曝しけり  (狩)峰尾秀之

仲村青彦特選
眠らない街より発ちて帰省バス  (狩)田口紅子
秋暑し戦後七十年の皺  (馬醉木)細井房俊
帰省子のえりあし白きまとめ髪  (枻)秋葉治江

西村和子特選
雫して揃ふかがり火虫送り  (圓)村田まみよ
秋の暮吾が足音に振り返り  (方円)植田哲光
けふの介護終へて私の髪洗ふ  (青女わかくさ)佐藤富子

能村研三特選
竹皮を脱ぐ鑑真の身の怒濤  (門)高橋治子
田植唄労ふことに始まれり  (櫟)山中清子
創刊号終刊号も土用干  (百鳥)塩谷康子


源鬼彦特選
田水沸く一揆の里のしづけさに  (天為)塩原佐和子
燕の子花屋の始終見てそだつ  (雪解)石原英子
代掻きの水逃げまどふ四隅かな  (笹)大平和男