平成21年度俳人協会各賞
平成22年1月23日(土)の選考会で下記の通り決定しました。
授賞式は2月23日(火)第39回通常総会に引き続き、東京新宿京王プラザ5Fエミネンスで行われます。
第49回俳人協会賞
- 榎本好宏『祭詩』
ふらんす堂自選15句
笹子嗚く己れ養ふ声にして
天山へ春の鷹とし巣立ちけり
どの蔵も川に開かれ雛の日
花筏明りといへる淀みあり
独活食うて世に百尋も後れけり
梟にリラの匂ひを聴きにゆく
参道に鰺の風干し尾が反りぬ
犀星の句の青梅に及ばねど
麦秋の飯粒(いひほ)乾びし狐塚
氷旗太宰入水の日なりけり
誰彼も家居のよはひ長崎忌
振り返る誰もさうして烏瓜
翁忌の明くれぱ霜の嵐雪忌
をとこみな死に難かりき龍の玉
五山いま柿衣(かきそ)の色に年詰まる
栗田やすし『海光』
角川書店自選15句
木瓜咲くや怠け教師として終る
春の夢はつしと面を打たれたる
研ぎ上げし闘牛の角朝焼くる
秋風や石あればみな風化仏
極楽てふ茂吉のバケツそぞろ寒
草萌ゆる予科練生の夢見し地
海光やこぽれて白き花月桃
赤土(あかんちゃ)に幾万の霊甘蔗青む
橡の実に屈めば妻も来てかがむ
滝凍てて全山音を矢へり
黒々と碧の遺墨や梅雨の寺
もの焚けば綾子師のこと寒牡丹
父の記憶なくて父恋ふ実朝忌
蜥蜴這ふ砲火に焦げし洞窟(ガマ)のロ
靖国の靖はわが名敗戦忌
第33回俳人協会新人賞
- 加藤かな文『家』
ふらんす堂自選15句
春の山好きなところに並べ置く
薄氷のつめたき水に囲まるる
卒業の涙を笑ひ合ひにけり
こぼすもの多くて鳥の巣は光
菜の花の前を次々明るい水
忘れてもいいことばかり春の禽
夏祭つまらぬものを買ひにけり
巻きついて昼顔の咲く別の草
タ暮のさういふ色の石榴なり
とまりたきもの見つからぬ赤とんぼ
木枯や吾より出づる父の声
朝日から鳥の出てくる寒さかな
いつしんに降る雪のなか遊ぶ雪
雪のあとひたすら乾く桜の木
大寒や兎は莱屑こぼしつづけ
金原知典『白色』
ふらんす堂自選15句
白椿いつか日向に落ちてゐし
銀閣へゆかずに曲り春惜む
垂れゆくを止むるちから花菖蒲
羽のあと胴が横切り鬼やんま
雪片を見入ればおそく雪早し
根方まで一本の鶏頭であり
鎌倉に線路はなじみ花芒
羽たたみいま空にあり石たたき
割るるとき追ひつく重み寒卵
花の向き迷ひなかりし梅白し
諸人に柄杓のかろき花御堂
桜蓼にふれ青邨の句碑に触れ
食ひし水ぽたぽた零れ鴨の嘴
昼過ぎの明るさかなし冬に入る
しばらくは白の香りや梅林
森賀まり 『瞬く』
ふらんす堂自選15句
我を見ず茨の花を見て答ふ
秋水にオーケストラの百五人
火に近く十一月の柱かな
息白し河原の石を拾ふとき
合歓の花不在の椅子のこちら向く
瞬きに月の光のさし入りぬ
かすかなる空耳なれどあたたかし
山法師一つの朝に夜の来ぬ
朧夜のマーマレードに深く匙
家中のしんとしてゐる桜かな
自転車に乗ればひとりや桐の花
合歓咲いてかたき箱なる全句集
羅の人ひといろに集まりぬ
長き根の漂ふごとし秋簾
風鈴や庭より入る母の家
第24回俳人協会評論賞
- 角 光雄『俳人青木月斗』
角川学芸出版日野雅之『大谷繞石』
今井出版
