第48回全国俳句大会
開催日:平成21年9月15日
於:有楽町朝日ホール
大会賞
水打つて日本の国のほか知らず 露木まもる
老人と焚火を残し出漁す 宗康子
返事して新入生となりにけり 縣恒則
大き声出せば茎石持ちあがる 荒川完石
しんがりを機長が降りぬ春の月 多田三子
秀逸賞
羽抜鶏力を抜いて歩きけり 福島裕峰
風入れや寺宝といふも幽霊図 原瞳子
独活室の闇より梯子引き上ぐる 菅野はるみ
甲斐駒に日のあるかぎり袋掛 野村和代
百歳の父と御慶を交はしけり 押尾きよ美
雪掻いてまた降る雪を見てをりぬ 田村和実
蘆刈りて大きな夕日置いてゆく 関口烏石
青柳志解樹特選
羽抜鶏力を抜いて歩きけり 福島裕峰
帆柱を帆綱が叩く春一番 小嶋丁二
潮焼けか焼酎やけか島に老い 西村妙子
有馬朗人特選
日の永きことをぽつりと種物屋 小野田キヨ
雪吊の要の飾り結びかな 清水和子
茨木和生特選
竹の子やこの世に厭離庵といふ 平石和美
今瀬剛一特選
日曜は便りの来ぬ日蝶来る日 山崎みのる
耕人のうしろの土のすぐ乾く 大前貴之
大串章特選
紙風船大きく緩く児へ返す 三浦小雀子
マスクとり手話に表情加へたる 吉田藤治
鳴神の歩幅大きく来たりけり 倉田信司
岡田日郎特選
江の島に白波寄する朧かな 乘田眞紀子
空も海も開聞岳も大夕焼 山内なつみ
くれなゐにくれなゐ重ね落椿 荒川香代
小川濤美子特選
しあはせは足もとにあり草の花 武知徹
地の底に宴のありて蚯蚓鳴く 福島裕峰
陽炎や人ゆつくりと毀れゆく 太田裕子
小澤實特選
独活室の闇より梯子引き上ぐる 菅野はるみ
甲斐駒に日のあるかぎり袋掛 野村和代
老人と焚火を残し出漁す 宗康子
小原啄葉特選
遺されてしまひわたしと竹夫人 河原淑
晴れ渡る空のかたさや憂国忌 坂本操子
老人と焚火を残し出漁す 宗康子
鍵和田秞子特選
くれなゐの太陽のぼる端午かな 上村佳与
勝鬨をあげ鶏頭の立ちてをり 三輪恒子
母さんはどこへも行かぬ半仙戯 河村美登里
片山由美子特選
甲斐駒に日のあるかぎり袋掛 野村和代
牡丹の芽午後には午後の家事ありて矢野みはる
雪掻いてまた降る雪を見てをりぬ 田村和実
神尾久美子特選
一陣の二羽来て鶴の村となる 羽嶋小鼓
大き声出せば茎石持ちあがる 荒川完石
帰省子の三人そろふ夕餉かな 中村信吾
神蔵器特選
ひかり撒くやうに花種蒔きにけり 横島李邨
入学す虹の向かうの学校に 松永浮堂
雲の峰太平洋へ椅子二つ 近藤恵美子
倉田紘文特選
世阿弥忌の朝顔白く咲きにけり 近藤昶子
鳥雲にいまも生家は坂の上 奈良葉
大佛の空から椿落ちにけり 大谷てるみ
栗田やすし特選
婚衣裳縫ひあげし針祀りけり 田村登代子
海女継ぐと決め磯桶を新調す 山村晃一
形見とて戻り来し荷の雛かな 西川麻規
古賀まり子特選
晴れとのみ記してありし敗戦日 成瀬正楓
年の豆亡き子に四粒供へけり 佐藤綺峰
後藤比奈夫特選
風入れや寺宝といふも幽霊図 原瞳子
月を得て形となりぬ踊の輪 中川龍造
にほの子の潜れば雨となりにけり 森多歩
斎藤夏風特選
山ざくら少年稚魚を放流す 宮崎清子
風入れや寺宝といふも幽霊図 原瞳子
闘牛を磨き上げたる越の晴 吉澤恵美子
佐川広治特選
桐の花女に挫折なかりけり 吹井ふじ子
龍太の忌近づく梅の空まさを 小坂智恵子
勝独楽の昭和の傷でありにけり 松本久美子
鈴木貞雄特選
初日さす牛舎に満つる咀嚼音 沼田葉櫻子
良夜なる亡き妻の部屋覗きけり 佐竹紀麓
鈴木鷹夫特選
遺されてしまひわたしと竹夫人 河原淑
大き声出せば茎石持ちあがる 荒川完石
栄転のしかもふるさと春一番 神野青鬼灯
鷹羽狩行特選
返事して新入生となりにけり 縣恒則
涅槃図の鳥の歎きは地に降りて 森下功深
滝沢伊代次特選
百歳の父と御慶を交はしけり 押尾きよ美
トラックで運ばれて来し祭馬 鈴木綾子
棚山波朗特選
蝌蚪の紐ほぐれんとして盛り上る 中川冬紫子
三輪山に続く端山も春めけり 柴田美雪
辻田克巳特選
種物屋いとも簡単さうに言ふ 高杉桂子
ぽんと入れぽんぽんと入れ柚子湯かな 河村冨子
葉櫻となり裏山となりにけり 津田和敏
津田清子特選
遙かより見えて我が家の鯉幟 古川すみ子
踏みしめる熊野古道の厚落葉 山田美代子
廃校に残る時計や鳥雲に 水谷敦子
七田谷まりうす特選
行く年の熱湯通す搾乳機 金川眞里子
文豪の黴の書庫わが愛書あり 塩谷康子
風二月小網つくろふ川漁師 綱島清
西嶋あさ子特選
旗振つて貨車切り離す雲の峰 柴田信子
手を当てて樹と話しをり桜守 永田順子
春満月檜山に狐鳴きにけり 柴田美雪
根岸善雄特選
荒神輿息ととのへて走りけり 宮本夕起子
缶蹴りの缶残されてかげろへり 川合悦子
野見山ひふみ特選
野に遊ぶ歌垣の山あるかぎり 大都孝光
城の虻連れて受賞の菊戻る 亀田英子
星野恒彦特選
日曜は便りの来ぬ日蝶来る日 山崎みのる
茎立やことわりの文間をおきて 草野准子
星野麥丘人特選
啓蟄や子規は野球もパンも好き 麻生勝行
竹の子やこの世に厭離庵といふ 平石和美
堀口星眠特選
根に力こめて石割桜かな 小原生子
面とれば雪女かも黒川能 谷けい
松崎鉄之介特選
百歳の父と御慶を交はしけり 押尾きよ美
水原春郎特選
塗師の目の微塵許さぬ霜夜かな 清水須寿代
灯さずに下る川舟十三夜 押切安代
九十九里春の渚となりにけり 渡部和秋
皆川盤水特選
鑑真廟うぐひすこゑを惜しみなく 佐藤三千子
雪下ろす屋根の上より御慶かな 石坂青峯
蘆刈りて大きな夕日置いてゆく 関口烏石
宮津昭彦特選
植樹して隣の山を見上げけり 下谷海二
蘆刈りて大きな夕日置いてゆく 関口烏石
結び目の日毎に緩み干大根 重西あつ子
村田脩特選
耕すや一人夕べの日に染まり 土井澄二
青空を巻き取つてゆく春の海 小見戸実
しんがりを機長が降りぬ春の月 多田三子
森田峠特選
そこまでと言ひつつ送る星月夜 横山茂子
敗荷に敗荷の風過ぎてゆく 安部和子
膝の猫恋の気配のなかりけり 本田百枝
山崎ひさを特選
百歳の父と御慶を交はしけり 押尾きよ美
西暦でいくさの話生身魂 長田久子
山田みづえ特選
木の実笛吹けば白秋忌なりけり 八幡酔鵬
横向きのてるてるばうず春の雨 小倉立史
花見舟棹ひと突きに滑り出す 松岡裕子
山本洋子特選
水打つて日本の国のほか知らず 露木まもる
蓬田紀枝子特選
大寒の鶏抱きあげて取る玉子 金指まさる
漁火のすべては遠し十三夜 高島半葉
夕牡丹忌日の正座解きにけり 阿部正調
渡辺恭子特選
足うらも農具のひとつ麦を踏む 杉野秋耕死
【当日句】
星野恒彦特選
子ら跳ねて空掬ひけり赤蜻蛉 遠藤ひろや
吾亦紅子が転職をふと洩らす 高橋恵美子
高層の玻璃千枚の秋晴るる 小倉英男
根岸善雄特選
踏みてゆく草の匂ひや星月夜 吉田樹海
カンナ咲くかつて被爆の天主堂 田澄夫
浅間嶺の雲にこだます威銃 花里洋子
奈良文夫特選
母の部屋いまは仏間の障子貼る 出口紀子
盆棚をはみだす子等の通信簿 亀田英子
大鯛を釣り少年の休暇果つ 永田順子
上田日差子特選
秋天の鉄棒にとびつきにけり 河村美登里
大鯛を釣り少年の休暇果つ 永田順子
ゆづりあふことも一会や花野径 尾中宏子
今瀬剛一特選
車椅子の母と入りゆく花野かな 藤原宏子
六角堂見ゆる丘まで道をしへ 藤井佶
伊藤敬子特選
姉川の殊に降りしく秋しぐれ 柴田鏡子
鳥渡るますほ小貝に舎利のいろ 水谷洋子
流星を北斗の柄杓もて掬ふ 武田孝子
