俳句カレンダー鑑賞  平成27年7月

俳句カレンダー鑑賞 7月
涼しさのいづこに坐りても一人 藺草慶子

 有季定型を守りながら十七音の限界と闘い続けている慶子さん。妥協は感じられない。そこには必ず孤絶の心がなければならないはずである。
 慶子さんとは、時々吟行句会をご一緒する。吟行中は限りなく自由に、一人で歩く。だから遠慮することなく、私も自由に歩く。投句締切までの時間は話をしない。だから私も黙って、作句に集中することが出来る。
 互いの選句が終わり、合評に入ると、思っていることを率直に何でも話してくれる。当然、率直な意見を求められる。褒められることも、褒めることもない。相手が誰であってもその姿勢は変わらない。受け入れられないものを拒み通そうとする強い意志がある。この緊迫感が心地いい。
 掲句は慶子さんがそこにいることを感じさせてくれる。俳句作家として孤であることの誇りが、慶子さんの涼しさなのだと思う。(井越 芳子)
涼しさのいづこに坐りても一人

藺草慶子

 社団法人俳人協会 俳句文学館531号より